君鳥的なんか役に立つかもメモ

お酒の感想が書きたかったのに筆者が体を壊したブログの末路。ふつうに役立ちそうなことを不定期に書きます。

これはワンブックスで本を作りフォロワーの誕生日に送りつけた顔

私がまだ12歳のころ、小学校の開校から何周年記念だかで、クリアブックをもらった。それに描いた絵を差し込んで、全部が埋まったときにはタイトルをつけ、「画集を作った、やったあ」と喜んでいた。
それから私は大人になり、同人誌という文化を知った。そしていつか、今度はちゃんとした印刷所に頼んで本を作りたいという夢を持つようになったのだ。
まさか、その記念すべき初めての「本物の画集」が、ネット上の友人に贈る、その人のためだけの誕生日プレゼントになるとは、私自身思いもよらないことだったのだが。

話は去年の8月に遡る。A氏と私はTwitterの相互フォロワーだ。お互い同じゲームをしていて、よくファンアートを描いているという共通点がある。4月に知り合ってばかりだったが、その時点でもまあそこそこ仲がよかった。
A氏は8月15日が誕生日で、私はそれにプレゼントをした。仲のいい人の誕生日に、1枚イラストを描いてあげるというのはネット上ではよくあることだ。
ましてや私は、知り合って1週間だったころにちょうど誕生日で、そんなまだ付き合いも浅いというときに祝ってもらえたのだ。お返しをしないというわけにもいかない。
そして肝心な絵の内容は、婉曲的に言うのなら薄い本……ストレートに表してしまえば、成人向け同人誌の表紙をイメージしたものだった。
自分がアイコンにしているキャラと、A氏がアイコンにしているキャラが絡み合い、イラスト上部にはタイトルロゴのようなものと年齢制限の表記が書いている。とはいえ、イラスト自体には年齢制限が必要なほどの過激な描写はなかったのだが。
何故そんな題材にしたのかは、よく覚えていない。とにかく、あくまで本ではなく、表紙風イラストである。
それだけなら、よくあるとまでは言わないが、たまにはある話だ。現にそれより1年前、A氏は同じようなイラストをもらっていたことを、後から知った。

今年の2月ごろ、私はとあるアンソロジーに原稿を提出した。主催者M氏と縁があり、M氏の愛するキャラクターを題材に1枚の絵を描いた。
それは私に間違いなく勇気をくれた。M氏のやった、「大好きなものに対する愛として本を作る」という行為の偉大さを知った。そして単純に「自分でも原稿が作れる」という自信を得た。
そして思いついた。もしかして今年の8月には、A氏に本物の同人誌を渡すことができるのではないか?と。
紆余曲折あり、そのころのA氏は私にとって一生忘れられないほどの恩人になっていた。私も、A氏の人生に一生残るような面白いことをしたい。「今までもらった誕生日プレゼントでいちばん嬉しい」とか、言わせてみたい。そう思った。
世界に1冊しかない本なんて、きっとプレゼントとしてはなかなかない話だ。

この世にはいろんなサービスがある。「OneBooks」は、株式会社RED TRAINというところがやっているサービスだ。
1冊から本が作れる。そして何冊刷ろうが単価が同じ。フルカラーでもモノクロと値段が変わらない。一定以下のサイズであれば、カバーを基本料金でつけることができる。などなど、特徴的な要素が多い。
本は基本的に、少なく作るととても割高になる。そもそも少なく作れても、最小ロット数が10とかだったりすると、誕生日にあげる用としては多すぎる。そういう問題がワンブックスなら、ない。
フルカラーでも値段が変わらないというのは、漫画やモノクロ絵が描けず、必然的にフルカラーイラスト本になる自分にとってはとてもありがたい。
バーが何故魅力的だったのかは後述する。

春ごろからぼんやりと企画は立てていたが、実際に着手したのは6月だった。サイズをA5より3mm大きめにしたものに合わせ、絵を描く。描く。ひたすら描く。
解像度は350、3mmは塗り足しだ。トンボというものがなくてもサイズさえ正しければ印刷してくれるらしい。頭が悪いのでシンプルなのは助かる。表紙の背幅などは簡易計算表がホームページにある。頭が悪いので、表紙は表紙サイズの原稿に、キャンバス変更で背幅と裏表紙を左側に足していくという原始的な方法で作った。
ワンブックスの最低料金は16ページの本を基準にしている。それよりページが少なくても安くはならない。そうなると16ページは作らないと損だ。だからたくさん描かなければならない。
計算式としては、1冊300円の基本料金に、4ページずつ料金が加算されていく。A5サイズは4ページ15円なので、最低価格は税抜き360円になっている。
同人誌といえばB5だが、私はA5にした。アンソロジーで描いたのがA5だから慣れているという理由もあるが、いちばんの理由は「カバーをつけられるサイズの中では最大だから」だ。

1年前にプレゼントしたエロ同人風のイラストは、伏線として利用できる。そのまま表紙として使えば「まさか本当に作るとは思わなかった」と言ってもらえるだろう。
しかし、ワンブックスは基本的に成人向けの内容は印刷できない。なので、ぬるい雰囲気だけの表紙絵ならともかく、本当にえっちな漫画を表紙に合わせて描くことはできないし、第一私はフルカラーイラストしか描けない。
となると「表紙はエロ同人風(ただし、本当に成年向けにならない範囲で)、中身は真面目な健全イラスト本」にしなければならないのだが、表紙と中身が食い違うことには違和感がある。
そこでカバーだ。カバーに昨年贈った絵を使い、その下の本当の表紙と中身は真面目に描き、1ページ目に「特別付録のエロ同人風カバーの内容は、一切本編と関係ありましぇ〜ん」とでも描いておけばいいのだ。天才。
というわけでこのプレゼント企画は、実質カバーが本体である。ギミックは大事だ。面白いことが大好きなA氏なら絶対楽しんでくれるだろう。

ということで、6、7月で着実に原稿を進めていた私なのだが、ひとつアクシデントが起こる。コミケと時期が被っているせいで、ぼーっとしているうちに予約が埋まった。
次に取れる日付は完成予定日が8月16日で、完成後の郵送、私の手元に届いてからA氏に送るまでのタイムラグを考慮するまでもなく絶対に間に合わない。なんてことだ。
というわけでイベントのあるときには余裕を持って予約するべきだ。ワンブックスは人気なのだ。これ誕生日だから遅刻してもまあよかったけど、普通の即売会なら許されないミスだぞ。
ちなみに、間に合わないお詫びに4ページ増量しておいた。

入稿予定日として予約を取った日は8月3日。
仕様をメールフォームで伝えると、確認の自動メールには原稿作成におけるマニュアルのURLがついてきた。ホームページのどこを見ても見当たらなかったものだ。ちょっと動揺したが、幸いなことに原稿に変更が必要なところが増えたりはしなかった。

そして、改めて見積もりが届く。私が送った細かい仕様は以下。
・A5サイズ20ページ、右綴じ、5部
・本文用紙はb7トラネクスト 99kg
・表紙用紙はアートポスト 160kg
・カバー用紙はコート(オーロラ) 110kg
・カバーにベルベットpp加工(単価に+25円)
・遊び紙にtカラペ アクア(単価に+100円)
これで値段は1部単価は税抜き500円。5部で2500円、ここに消費税が200円かかる。送料が1000円、決済手数料で300円。全部ひっくるめて4000円。ちなみに全国どこでも送料は変わらない。
発送方法は元払いの宅急便を選び、コンビニで決済することにした。到着時間を選ばせてくれるのはありがたい。
5部刷った理由は、A氏に事前に念のため1冊で足りますよねと聞いたら「3冊欲しい」と言われたからだ。1冊は自分用で、残りの1冊は予備。
オーダーメイドの誕生日プレゼントみたいなもの、として見るとこれはかなり安いのではないか。

それで、見積もりと一緒についてくるメールアドレスに、ファイル転送サービスを使って入稿すれば完了。zipにまとめてギガファイル便に預けて、メールでここに預けましたよと言えばいいだけ。
入稿を確認してもらえると決済用のURLが届き、振り込んでからはただひたすら待つ。そのあとは毎日そわそわしていた気がする。
8月17日に、ヤマト運輸からメールが届き、お届け予定日は19日で、実際その通りに来た。たぶん完成予定日の16日の夜遅いときに仕上がったんだろうと思っている。

で。出来について。
全体的に印刷はやや荒い。コンビニコピーに毛が生えた感じ。あまり濃くない色で塗りつぶされてるところなんかはざらつきが多少気になる。一面に塗った黒なんかは迫力があっていいけれど。オレンジ系のイラストでちょっと赤みが強く感じたりなどもあったが、まあ安さを考えれば満足だ。
本文用紙はイラスト本におすすめされていたもののいちばん厚いものを使ったが、特に言うことはなく満足。
表紙はカバーを巻くから少し薄めでいいかなと思ったのだが、160kgだと本文の方が分厚い気すらしてくるし、180kgのほうがしっかりとしてよかったかもしれない。
バーは90kgの一番薄い紙だとくるんくるんになると他のレポで聞いていたので110kgにしたけど、たぶんそれで正解だったと思う。薄い本には向いていないのか、少したわむ感じはあるが、これがないとこの本が始まらないので仕方ないところがある。
ベルベットppは「しっとりしているからえっちな本に使うと色気がある」みたいな話を聞いていたので使ったが、普通のつや消しのマットppが手元にないので、比較してみないとわからない。次に本を作る機会があればマットppを使おうと思う。
今回のいちばんの失敗点は、tカラペというすごく薄い紙を遊び紙に使ったことだろう。薄くて青く、次のページが透ける綺麗な紙だが、やたらぺらぺらして危なっかしいしカバーの袖と干渉して扱いにくい。tカラペで検索して折り紙に使われているところばかり見つけてしまった時点で、察するべきだった。思っていた以上に薄い。
物珍しさから気まぐれで採用したが、もし遊び紙が必要なら普通の色上質紙にしておくべきだと思った。100円はそこそこ大きな上乗せだし、痛い目を見た。

そしてこれをレターパックに入れてA氏の住所に送った。現物を見たA氏の感想は省略するが、少なくとも私はとても満足している。
本を作ることは簡単だ。金と気合だ。みんなも好きな何かのために本、作ろう。