おさけおいしい

飲んだ酒の感想。飲んだら更新、不定期。

おとんのスペシャルお酒入門セット前編

二十歳になった夜、日付が変わって間もないあたりに、父からレジ袋を受け取った。中には諭吉の入った封筒、チューハイの缶がふたつ、さらにカップ酒。
現金については大事に貯金箱に入れるとして、酒はどう飲むのが正解か。父にLINEをしたところ「どれも、基本しっかり冷やして飲んでね」と返ってきた。
缶はそれぞれ、ほろよいのはちみつレモンと、氷結のグレープフルーツ。日本酒はワンカップ大吟醸
グレープフルーツみたいな苦いの好きじゃないんだけど大丈夫かなーと思いつつ、全て冷やそうとしたら「誕生日ケーキが場所をとるから、どれかひとつだけにしてくれ」と母に言われてしまった。

となると最初の1本は今決めなければならない。度数を見るといちばん低いのはほろよいで、またいちばん飲みやすそうなのもほろよいだ。レモンは酸っぱそうな響きだが、はちみつが入っているなら甘酸っぱいで済むだろう。
冷蔵庫の隙間を埋めるようにほろよいを差し込んだ。
誕生日の夕方から夜には、ネッ友たちとスプラトゥーン2のフェスをやりながら通話をする約束があった。それまでに冷えていてくれれば、飲みながらゲームができる。ほろよい1本であれば致命的に酔うことはないだろう。

そして誕生日仕様の夕食とデザートを終え、お腹いっぱいだったのが少し落ち着いたころ、約束の時間が来た。
通話ではネッ友たちに誕生日を祝われ、私は「後半になったら酒を飲みます」と宣言しておいた。最初から酒入りというのはなんとなく恥ずかしかった。
おおよそ半分くらいが過ぎたころ、とうとう待ちに待ったほろよいの缶を開けることにした。炭酸飲料特有の小気味よい音。間髪入れずにひと口含むと、概ね想像していた通りの甘酸っぱさが広がる。
なるほど初心者向けのチューハイだ。というかこの味は知ってる、完全にジュースだこれ。

ネッ友のひとりが「一気に飲むとよくないから、一試合ごとにふた口にしよう」と提案し、それを守りながら飲んだ。勝っても負けてもふた口。
それを繰り返していると、だんだんぼんやりとしてくる。ただ、それが酔っているのか単にテンションが高すぎて疲れたあとの眠気なのか、感覚が弱すぎて正直よくわからなかった。
そして、とりわけゲームの操作がひどくなることもなく、途中で具合を悪くするでもなく、誕生日の夜は平穏に終わる。

ファーストキスはレモン味、だのたまに聞くが、ほろよいのはちみつレモンは、まさに初めてにふさわしい味と度数だった。酒を飲んだことがなくて自分がどれくらい強いかわからなくても、これひと缶だったら大事故は起きなさそうだ。
あと、甘い。おいしい。飲んだことないのに清涼飲料水か何かで飲んだことのある気がする味がした。
ただしあまりにもジュースらしさが強いので、酒らしい酒を期待して飲むものではないんじゃないかなと思った。酔いたいよりも「まだ見ぬ甘露を知りたい」が強い私が、今後飲む機会はあまりなさそうだ。